耳の遠い人が長生きするって本当?
耳の遠い人が長生きするって本当?
当社の集音器を使用される方、無料貸出で試聴される方の年代は様々ですが、比率的には70歳以上の高齢の方が多いです。
人はそれぞれ、様々な環境化や生活習慣で過ごして来ていますので難聴の度合いもそれぞれです。
最近の60代は現役バリバリで働いている方も多く、私の経験上はこの年代の方と話をしていても、耳が悪いなと感じることは殆どありません。
高齢者の定義は法律により異なりますが、「高齢者の医療の確保に関する法律」においては
「前期高齢者」が「65~74歳」
「後期高齢者」が「75歳以上」
ですので、この定義でいくと60代前半は”まだ高齢者ではない”という昔の人の寿命からは考えられないほど長寿の時代になりました。
年齢の話をしましたが、耳は急に悪くなるわけでなく突発的なものを除けば、徐々に機能が衰えていきます。
モスキート音はご存知ですか?
これは「キーン」という、非常に高い音です。
言葉の意味的には「蚊の音」ですが、実際の蚊の音は「ブーン」という感じなので、ちょっと違和感は感じますね。
このモスキート音について、厳密な音の高さの規定はありませんが、例として17~18kHzといった非常に高い周波数の音になります。
人の耳の可聴周波数は一般的に20Hz~20kHzと言われていますので人が聞き取れる限界値に近い音です。
聴き取り能力には個人差がありますが、モスキート音は10代後半や20代でも聞き取れなくなります。
そう、若い時からすでに耳の能力の低下は始まっているのです。
年に1回、健康診断で聴力検査をしている方は多いと思いますが、これは非常に簡易的なものであり、
ピーという音が聞こえたから、”耳はまだ衰えていない”という訳ではありません。
検査で使用している音の周波数は、モスキート音よりずっと低い音です。
気づかないうちにジワジワと、そして確実に聴き取る能力は衰えていきます。
これが実際に日常生活に不自由と感じるようになるのが、70歳以上といった高齢になった時です。
さて、日本人の平均寿命はどんどん延びていますし、寿命が延びるほど、耳の悪くなる人も比例して増えることになります。
よって、理屈的には
「耳の遠い人は長生きする」
ではなく、
「長生きしているから耳が遠い」
という事になるでしょう。
でも不思議と耳が遠い人が長生きしそうなイメージはありますよね。
私もあります。
・聴こえなくても気にしない。
・それで周りに迷惑を掛けても気にしない。
そんな我が道を行くような人が長生きしそうです。
ですが、そういった人が長生きするかどうかについて統計学的なデータは見つかりません。
こういった性格の人は周囲の印象にも残りますので
印象的には、
「耳が聞こえなくても気にしない人だから長生きする」
というイメージが付いたとも言えるでしょう。
“理屈”と”印象”であれば、印象の方がより強く頭に残ると思いますので、こういったイメージ的なことから
「耳の遠い人が長生きする」
ということが定着したのではないかと私は考えます。
最後に、
引退して老後生活を送る環境下では、耳が遠くなった本人よりも、周囲の人がストレスを感じることが多いです。
聴こえなくても気にしないという方は、
「周囲の人に過度のストレスを与えないために、補聴器や集音器を使う」
ことも考えていただくと良いと思います。