補聴器や集音器で使用する単位 dBSPLとdBHLの違いについて
単位 dBSPLとdBHLの違いについて
デシベル dB
まずdBSPLもdBHLもおなじ”dB”というものが付いています。
ベルという人の名前から来ている単位ですが、この”dB”が付くと、「基準となる値が必ずあり」、
その値からの比較量を示します。
これを対数といいます。
尚、dBは単独ではデシベルやデービーと発音しますが、dBの後に単位が付くとデービーと読みます。
例えば、dBHLはデシベル・エイチ・エルとは読みません。
聴力レベル「dBHL(デービー・エイチ・エル)」
HLは、Hearinng Levelの頭文字。
ヒアリング・レベルの略です。
この単位は、人がどれくらいの音で聞こえるか(聞き取れるか)を表しています。
若い正常な耳の人が聞き取れる最も小さい音を0dBHLとし、この音を基準としています。
聴力レベル | 基準からの倍率 |
0dBHL | 基準 |
20dBHL | 10倍 |
40dBHL | 100倍 |
60dBHL | 1000倍 |
80dBHL | 10000倍 |
100dBHL | 100000倍 |
dBHLという単位は、聴力検査のオージオメーターで使用されます。
耳の正常な人が0dBSPLで聞こえる音が、60dBSPLでないと聞こえないので難聴が進んでいますね・・となります。
60dBSPLの差。たかだか60の差ではなく、実際には1000倍といったものすごい差があります。
聴力レベルにおける難聴の判定は次のようになります。
25dBHL以下 | 健聴 |
26~40dBHL | 軽度難聴 |
41~55dBHL | 中等度難聴 |
56~70 dBHL | やや高度難聴 |
71~90dBHL | 高度難聴 |
91dBHL以上 | 重度難聴 |
音圧レベル「dBSPL(デービー・エス・ピー・エル)」
SPLはSound Pressure Levelの頭文字。
サウンド・プレッシャー・レベルの略です。
人が聞き取れるもっとも小さい音である20μPa(マイクロパスカル)を0dBSPLとし、この音を基準としています。
人の聞き取れる音の範囲は、20μPaから20Paと言われています。
μは10の-6乗を示し、20μPaは0.000002Paとなります。
20μPaと20Paの差は1,000,000倍。100万倍になります。
0の数が多すぎますね・・
これをdBSPLで表すと
音圧レベル(dB) | レベル(Pa) | 基準からの倍率 |
0dBSPL | 20μPa | 基準 |
20dBSPL | 200μPa | 10倍 |
40dBSPL | 2000μPa (2mPa) | 100倍 |
60dBSPL | 20mPa | 1000倍 |
80dBSPL | 200mPa | 10,000倍 |
100dBSPL | 2000mPa (2Pa) | 100,000倍 |
120dBSPL | 20Pa | 1,000,000倍 |
100万倍という差が0→120で表されました。
対数にすると少ない桁で表すことができます。
対数の計算式があるのですが今回は省略します。
dBSPLという単位は、補聴器や集音器のカタログでは出せる音の大きさを示しています。
例えば、カタログで100dBSPLと120dBSPLでは、実際には音圧レベル10倍(Pa)の差があることになります。
音圧レベル(音の大きさ)の目安
音圧レベル(dB) 音の事例
120 | 飛行機のジェットエンジン |
110 | 車のクラクション |
100 | 電車のガード下、地下鉄構内(通過電車) |
90 | 近くの犬の鳴き声 |
80 | 走っている電車内 |
70 | 騒がしい事務所 |
60 | 通常の会話 |
50 | 静かな事務所 |
40 | 図書館 |
30 | 静かな部屋 |
20 | ほぼ無音 |
0 | 聞き取れる限界値(基準) |
dBという対数は基準となる値があってこそです。
この「基準となる値は何か」を把握していないと混乱してしまいます。
最後に繰り返しますと、補聴器や集音器において
・dBHLはオージオメーターで測定した結果
・dBSPLは補聴器や集音器の性能(出力できる音の大きさ)
を表しています。