第63回日本聴覚医学会総会・学術講演会に参加して思うこと
日本聴覚医学会総会に参加して
開催期間は2018年10月17~19日。
開催地は神戸国際会議場。
私が参加した日は10/18日です。
愛知県西部在住で、名古屋より岐阜に行くほうが近い私は岐阜羽島駅から始発の新幹線で新神戸駅へ。
ちなみに当社は名古屋市の西区にあります。
そこから地下鉄とポートライナーを乗り継ぎ、現地に到着したのは8時半ごろ。
すでに8時から講演はスタートしています。
医学会総会の後に開催された、「第41回補聴研究会」も含めると、夜の19時ぐらいに終了という結構な長丁場でした。
翌日の講演は都合で参加せずに日帰りです。
当社は補聴器(医療機器)ではなく集音器(電子機器)を製造し販売しているのですが、聴覚についての知見を広めるため参加しています。
まず学会総会で何をやっているの?というところですが、第1会場から第4会場の4箇所の同時進行で、先生1名が壇上に立ち調査・研究等の成果をスクリーンに映して講演されます。
各会場、時間ごとに主題(テーマ)に基づいて講演内容は分類されています。
例えば、第1会場は、「超高齢化社会における聴覚医学の課題と使命」、第2会場は「人工内耳」といった具合です。
同時進行で同時に全部見ることはできないため、事前にプログラム表で見たいプログラムをチェックしておき、それを見る形になります。
その他、会場内で補聴機器、人工内耳メーカー等の展示ブースがあったり、昼の時間はランチョンセミナー(支給されるお弁当を食べながら講演を聴く)もあります。
また聴覚の関連書籍の販売コーナーも設けられています。
私は電子技術系の学校を卒業しており、正直なところ医学的な分野の知識は無きに等しいので講演内容によっては理解できない部分も多々あります。
そんな私ですが、様々な講演内容を聞いてしみじみ思うのは、
「人が聴覚の悩みから開放されることはあるのだろうか?」
「万人が満足する補聴機器は実現できるのだろうか?」
ということです。
今回の講演の中で、補聴器店で購入したが満足できず、場所を変え、人を変え、再調整をした所、聞こえが改善したという発表内容もありました。
認定補聴器技能者がいる店で購入したけど満足いく結果が得られず、同様に再調整にて改善したという内容もありました。
ただただ、高い機器を買えば聞こえるという代物ではなく、調整する技能者の能力と、使う側の「なんとか聞こえを改善したい」と思う確固たる意思がないと成立しないのが現状だと思います。
ここで言う技能者の能力は単に、機器の調整ができることだけでなく、お客さまの要望を的確に汲み取れること、お客様の”聞きたい”という意欲を引き出し、かつそれを継続させることができるコミュニケーション能力です。
・・聴覚の分野は本当に難しいと思います。
今回の総会で最も印象に残っているのは、「第41回補聴研究会」で座長(進行役)の小寺氏と補聴器工業会の成沢氏の会話です。
(正確な覚えではないのでニュアンスにて)
Q小寺氏「技術の進歩にて補聴器をより安く提供する方向がユーザーにとって好ましいのでは?」
A成沢氏「メーカーとしては製品を安定的に供給していく責務があり、そのために価格を下げられないのはやむを得ない面がある」
見事な返しでした。
会場内で笑いが起こっていましたが、私も笑った口です。
ですが・・確かにその通りで、開発に膨大なお金がかかりますし、メーカーの従業員の給料、販売店も販売員の給料も払わなければなりません。手間がかかるわりに飛ぶように売れる代物ではないので製品価格が高くなるのは止むなしとも思います。
車業界もそんな感じですね。
今後、技術や医療の進歩にて眼鏡をかけるようにお手軽に、耳の悩みが改善される日がくるといいなと思います。
さて、学会総会はすでに次回の開催日も決定しており、
第64回日本聴覚医学会総会・学術講演会は2019年11月6~8日に大阪国際会議場で開催されます。
第62回は福岡、63回は神戸、次は大阪と名古屋に近づいてきました。
大阪の次は名古屋・・飛ばしにならないことを願います(笑