アナログからデジタルへ
・はじめに
昨今、Amazon musicやApple Music、Spotify等の音楽ストリーミングサービスが台頭しておりデジタルデバイスでデジタル音楽を聴くことが主流となっている。
一方、アナログ音楽の代表ともいえるレコードの需要が近年増加しており総発売枚数は10年程前と比較して10倍になり(1)、売上でいえば20倍以上となっている(2)。
ここではアナログとデジタルの違いやデジタル化についてまとめ、
レコード需要が増加している要因について考察する。
・アナログとデジタルの違い
まずアナログとデジタルの違いについて大まかな説明をすると、アナログは連続的に変化するものを指し、デジタルは断続的に変化するものを指します。
このことは時計で説明されることが多く、アナログ時計は針が常に動き続け表示されている時間は連続的に変化しているのに対し、デジタル時計での時間は例えば
12:00:00→12:00:01→12:00:02
と数値が秒単位で断続的に変化するので表示されている時間は断続的に変化しているといえる。
・アナログデータのデジタル化(A/D変換)
アナログの音楽をスマートフォン等の電子デバイスで再生する為にはデジタルデータに変換するデジタル化が必要である(A/D変換)。
このデジタル化について簡単に説明をする。
1.標本化(サンプリング)
まず、今回デジタル化するアナログデータを図1に示します。
図1 アナログデータ(例)
この図1のアナログデータをデジタル化するために、まずは標本化(サンプリング)を行います。
この作業はアナログデータから一定の間隔(サンプリング周波数)でデータを抽出する作業となります。
今回は図2のように行います。(抽出した箇所に点を付けてあります)
図2 標本化(例)
2.量子化
標本化の次は量子化を行います。
量子化は標本化にて摘出したデータをあらかじめ与えられた数の段階に近い数に置き換えることです。
今回は図3のように0~3の4段階で量子化を行い、その結果が図4となります。
図3 量子化(途中)
図4 量子化(例)
3.符号化
符号化では量子化で得られた数値を0と1のみ数を表す2進数への変換を行うが、今回は本筋とは関係がないので省略する。
・結果
結果として元のデータである図1とデジタル化した後の図4を比較すると元の形が失われてしまっている。
実際のデジタル化においてもここまで顕著に形が変わってしまうことはないが、少なからず形は変わってしまう。
この形の変化によって例えば音のデータでは存在したはずの音が失われたりする。
この形の変化による影響を軽減する方法としては主に2つの方法がある。
1つは標本化の際の間隔を短くする(=サンプリング周波数を大きくする)といった方法がある。
これを実際に図1のデータで行ってみる。図5に標本化の間隔を図2の1/4にした場合と図6にそこから量子化を行った結果を示す。
図5 標本化の間隔を図2の1/4にした場合
図6 量子化結果
図4と図6を比較すると元のデータの形に近くなっていることがわかる。
2つ目は量子化の段階を増やすことです。
今回は図6の量子化の段階を4倍にし、その結果での量子化途中が図7、量子化結果が図8のようになる。
図7 量子化(途中)
図8 量子化結果
図6と図8を比較すると図8は図6より凹凸が増えより元のデータの形に近づいていることがわかる。
人が音を聴くことが可能な周波数の範囲(可聴周波数)は20Hz~20kHz(=20,000Hz)と言われており、
CDはこの可聴周波数に合わせてサンプリング周波数を44,100Hzや48,000Hzといった周波数を用いていることが多い。
・さいごに
レコードの音にはデジタルでは聴くことが出来ない独特の音の良さがある。
また、コロナ禍により自宅で過ごす時間が増えたことで、スマホやCDを利用して音楽を聴くよりも多少手間の多いレコードを利用する余裕が生まれたと考えられる。
これらの理由からレコード需要が増えていると考えられる。
さらにレコード需要の増加に応じてか、有名なアーティストがレコードで音楽を新しく発売したことなどがさらに需要の加速につながっていると考えられる。
・参考文献
右肩上がりのアナログレコード「時代遅れイメージ」間違い、大手も生産復活 – 社会 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
10年で売上23倍「アナログレコード人気再燃」を支えるのは若い世代だった | 集英社オンライン | 毎日が、あたらしい (shueisha.online)