聞こえが回復する可能性 自発的有毛細胞再生 再生医療
聞こえが回復する可能性 自発的有毛細胞再生
人間の複雑な臓器の中でも特に繊細な内耳。
内耳は私たちの体にある、耳の鼓膜よりも奥にある“音の聞こえ”や“平衡感覚”に関わる臓器です。
弊社では“聞こえ”に関する問題解消のお手伝いとして集音器を開発・販売しております。残念ながら、この集音器や補聴器などを用いてもすべての聞こえをよくすることは難しいです。
その理由のひとつに密接にかかわっているのが内耳にある有毛細胞です。今回はこの内耳の有毛細胞について調べてみました。
内耳の有毛細胞について
人が音を聞きとる際、耳では音の振動が内耳にある蝸牛の有毛細胞から聴神経へ、そして脳へ向かって 伝達されていきます。有毛細胞は音の振動、つまりは物理刺激を神経刺激に変換し、蝸牛神経節細胞に伝えています。この過程で酷使され続けた有毛細胞は一度傷ついてしまうと再生はとても難しいです。ですので、高性能な補聴器や集音器を用いたとしても有毛細胞が傷ついてしてしまっているために、難聴症状が改善しないというケースは多いようです。
しかし、有毛細胞に問題がある場合でも人工内耳を使うことで聞こえが改善されるかもしれません。
人工内耳の仕組みは、通常の有毛細胞を経由せずに電極から聴神経を直接電気で刺激することで音感を得る仕組みです。人工内耳が有毛細胞の役割を代行する形になります。
本来、人間の内耳には有毛細胞がひとつの蝸牛におおよそ3500個あるのに対して、人工内耳ではそのかわりに20個あまりの電極から聴神経を刺激し信号を伝える為、送り込める音の情報が通常よりはるかに少ないとされています。本来人間が感じる聞こえを完全に再現することは難しいようですが、現在では技術進歩により人工内耳の聞こえは格段に良くなっているそうです。
再生しないはずの有毛細胞を再生できる可能性
先日、京都大学医学部付属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のホームページで公開されている「内耳細胞死、細胞周期制御に関する研究“自発的有毛細胞再生に向けて”」という記事を目にしました。
記事の内容によると、人間をはじめとした哺乳類は内耳有毛細胞を自己再生できないのに対してカエルやニワトリの有毛細胞は再生するのだとか。
ニワトリを例にすると、人間では本来、聴覚の有毛細胞が障害を受けて失われてしまうのに対し、彼らの細胞は障害を受けたときにだけ再生します。人間の体でも細胞死と細胞周期をコントロールすることで有毛細胞が自発的に再生する可能性があるみたいです。
(詳しくは、京都大学医学部付属病院の記事リンクからご覧ください。)
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